リビングの扉が開いても、わたしは顔をあげることが出来なかった。

「…ミコ?」

蓮くんが近づいてくる気配を感じながら

固く目をつぶった。


わからないよ。


どんな顔をしたら、

呆れられないですむの?


どんな言葉を使えば


嫌わないでいてくれる?

どろどろと渦巻く嫉妬も

締め付けられるような息苦しさも

そこにいてくれるだけで、安堵してしまう心も


顔や口に出せば、



きっと、うまく伝わらない。