インターホンのベルが鳴り響く。

返事を待たずに、ドアのノブが回る音がした。

真っすぐにリビングに向かってくる足音だけで、蓮くんだと分かってしまう。

「………」

頬が

緩んでしまいそうで。

引き締めて膝に埋めた。


―――来て、くれた。


嬉しいのに

心のもやもやは晴れなくて


苦しいのに


期待に胸は高鳴って


どんな顔をすればいいのか、わからなくなる。