リビングのソファで膝を抱えて丸まったまま、磨りガラスの嵌め込まれた木製のドアをぼんやり見つめた。

自分の部屋に篭らず、玄関に鍵もかけず。

蓮くんが追って来てくれるのを、これみよがしに期待して待つ自分が情けなくて、恥ずかしくて顔を伏せた。


こんな風に、


ずるくて

計算高いわたしを知れば、 

蓮くんは呆れてしまうかもしれない。


でも


駄目なの。


諦めるのが怖くて

望みを繋ぎたくて


蝶を誘い込む狡猾な蜘蛛みたいに。

罠を張ったまま動けない。