「帰る」

すりぬけていく、ミコトの肩を引き止めることが出来なかった。

ミコトが何を察したのか、気付いたから。


ただの誤解なら。


今すぐにだって解いてやれる。


嘘なら


いくらでも並べ立てて吐き出せる。


ミコトへ伸ばした手を、握りしめて下ろした。


どうやればミコトを守ってやれる?


嘘も真実もきっと彼女を傷つけるだけだ。


引き止めて、なにが言えると言うのだろう?


自分の浅ましさから逃げ出して、

身代わりをたてることでしか君を守れなかった僕に。