「今後、二度と近寄るな」

肩に置かれた蓮くんの指に、軽く力が入る。

敵意を含んだ声に、わたしは慌てて、首を振った。

「違うの、蓮くん。本当に挨拶されただけなの。時田くんはなにも悪くな……」

「……ミコト、いいから」

蓮くんは時田くんを睨み付けたまま、わたしの言葉を制した。

張り詰めた空気に、オロオロと二人を見比べる。

時田くんはネクタイから手を離し、目を細めて笑うと、ゆっくりとこちらに顔を向けた。

「こわいなー浅倉っち。そんなに睨まないでよ」

茶化した口調で言いながら、肩をすくめる。

それから、わたしたちの後ろを指し示すように顎を突き出した。

「でもさー騎士様一人に、姫君二人は重荷なんじゃないのー?」