過去の記憶に引きずられるように、恐怖だけが心を支配していく。

いやだ!

いやだ!

いやだ!

固く目を閉じて、身体を丸め、頭を膝に埋めた。

怖い!

怖い!

コワイ!

動悸は激しさを増し、呼吸が乱れ息が出来ない。

苦しい。

苦しいよ。

助けて!

助けて!!

「蓮くん!蓮くん蓮くん蓮くん!!」

刹那、

ふわりと身体をぬくもりが包んだ。

びくっと、怯えて逃げ出しかけたわたしの耳に、聞き慣れた声が届いた。

「ミコ」