「…悪いけど今日は……」

「来なかったら、どうなるかわからないから」

被せるように、真由は早口になった。

声の固さが、何かを暗示するように、重く響く。

「真由」

いやな予感に、はっとして立ち上がった。

「今、どこ?」

「……部屋よ」

真由の声から急速に力が失われていく。

脳裏で

赤い傷が再び口を開いた。

「…お願い……来て………止められ、ないの」

真由の漏れる息に苦痛が混じる。

どうしようもない闇に引きずり込まれていくようで、固く手を握り、目を閉じた。