駅の改札口を抜ける。

手を繋ぎ、ホームへ向かう階段を昇った。

ざわめく人ゴミの中に立ち、わたしたちはそっと寄り添いあった。

「荷物もう全部送ったの?」

見上げると、蓮くんは優しく笑った。

「大方ね。残りは父さんに頼んであるよ」

「そっか。
時田くんは経済学部だよね。
よろしく伝えてね」

わたしの言葉に蓮くんは苦虫を噛み潰したような顔をした。

蓮くんは、去年の初冬。

かねてからの志望校であるK大の法学部に推薦で合格した。

わたしたちの家からK大まで
特急電車で2時間半。

家から通うには遠すぎるため、蓮くんは学生寮に住みこむことになった。

――結果的に

わたしたちは、4年間離れ離れになる。