雨が上がった濡れた道を、わたしたちは手を繋いで歩いた。

街路樹から落ちる水滴が、夕焼けに反射してキラキラ輝く。

ゆっくりと歩きながら、わたしたちは沢山の話をした。

吉仲先輩のこと、時田くんのこと、これまでのこと、これからのこと。

こんなに蓮くんと話をしたのは、鳴海先生に襲われた事件以来初めてで。

何と無く照れながらも、わたしたちは、とめどなく話し続けた。

「蓮くん」

自然にあの公園を避けて遠回りする蓮くんの腕を引く。

「こっちから帰ろう?」

蓮くんはわたしを振り返り、じっと見つめた後、心配げに瞳を揺らした。

「大丈夫?」

微笑んで頷く。

「あの記憶は、蓮くんが塗り替えてくれたから。
……だから
もう、怖くないよ」