瞬間、わたしは時田くんに腕を掴まれ、床に押し倒された。

「時田くん!?」

驚いて顔をあげる。

彼はわたしを組み敷き、呟くように言った。

「だよね。
みんな浅倉がいいよね。
優しくて、親切で、人気者の浅倉くん。
羨ましいよ」

「いやっ!」

何が起こっているのか理解できなくて、わたしは青ざめて、首を振った。

「俺はね、ずっと浅倉が大嫌いだった」

時田くんの指がわたしのネクタイにかかる。

するりとネクタイを引き抜き、時田くんはボタンを二つ外した。

「や、めて」

震える声で訴えると、彼はふっと笑った。

「俺が親切で佐和ちゃんに近づいたと思ってた?」

耳元で囁いて、時田くんは首筋に顔を埋めた。

「なわけないじゃん。
浅倉は、俺の一番大事な人を、あんたの身代わり扱いにしてたからさ。
だから、俺もあいつの大事なものをめちゃくちゃにしてやりたかったんだ。
こんな風にね」

唇が首を這う。

「やめてっ!」

叫びながら、わたしは必死に暴れた。