文化祭は朝から大雨で、

客数もイマイチ伸びず、盛り上がりに欠けた。

甘味屋でお茶を運んでいた私は、雷の音に驚いて身をすくませた。

なんだろう。

電気を付けても薄暗い教室で、たまに稲光を発する曇った空を見つめる。

激しく降り続ける雨音に、なにか良くないことが起こりそうな予感がして、

何となく気持ちが落ち着かなかった。

「佐和さん。
もう、交代だから。
模擬店とか展示場回って来たら?」

暗幕を開けて、藤平くんが廊下を指差す。

わたしは頷くと、クラスメイトの女の子に衣装を渡し、教室を出た。