ただ、キミが好き

「は? 何言ってんの?
相手は、お前だろ?」

「それはない」

「はあ!?」

声を上げて、立ち上がる。

「お前、真由と付き合ってたんだよな?
責任逃れすんなよ」

「有り得ないって言ってるんだ。俺と彼女の間にそういう関係はない」

「………嘘だろ?」

時田は口元を抑え視線をさ迷わせた


「時田?」

俺の声が聞こえないかのように、呆然に立ち尽くす時田に違和感を感じて、俺は眉を寄せた。

なんだ?

「時田、どうした?」

時田に近づいて肩に触れようとした刹那、携帯が音を立てて鳴り始めた。

俺は時田に視線をあてたまま、二つ折りの携帯を開いた。

着信を確認する。

――真由?

慌てて、受話ボダンを押した。