「……真由が言ったの？」

ぽつんと呟いて、時田は煙草に火を消した。

軽く笑う。

「そ、だよ。
俺達、姉弟なの。
似てないっしょ」

机に腰を下ろし、背中の後ろで手をついて時田は首を傾げた。

「浅倉っちが知りたいのは、なんで他人のふりしてるかってこと？」

探るような目で俺を見る。

「名字の違う姉弟が一緒の学校にいるなんて、体裁悪いっしょ？
だから俺も真由も隠してんの。
あんまり噂の標的とかされたくないしね
で、話ってそれだけ？」

「吉仲先輩、妊娠してるんだ」

時田は、一瞬動きを止めて、それからゆっくり前髪をかきあげた。

「…………へー、それで？」

「相手が誰なのか知らないか？」

問うと時田は呆気に取られたように俺を見上げた。