階段を駆け上がり廊下に出る

教室から漏れる明かりに気付いて俺は足を止めた。

――消し忘れか?

首を捻りながらドアを開ける。

「時田?」

窓際に胡座をかいて煙草をふかしていた時田は、俺を振り返ってヘラヘラ笑った。

「おつかれさま〜浅倉っち遅くまで大変だねー」

「……なにやってるんだ?」

尋ねると時田は机で煙草を揉み消し立ち上がった。

「なにって待っててあげたんだよん。
浅倉っちこの間からなんだか俺と話したそうだったからね」

言いながら新しい煙草を取り出し、ニ、三度机で弾く。

「で、なんか用?」

時田は煙草をくわえ、俺を見上げた。