「天気崩れそうだな」

文化祭準備が終了し、ようやく一息ついて、俺は校門前で暗くなった空を仰いだ。

幾重にも重なる雨雲が、どんよりと重く広がっている。

せっかく時間をかけて用意したアーチの花が無駄になりそうで溜息が漏れた。

「8時か」

携帯で時間を確認し、

「そろそろ校舎の鍵閉まるかな」

荷物をとるため足速に教室に向かった。

歩きながら眼鏡を抜き取る。

ポケットに入れた瞬間、ふと鮮やかにミコトの温もりが腕に蘇った。