「佐和さん、やっぱり凄い!
これ、既製品よりいいよ」

下校時間ギリギリまで掛かって仕上げた、文化祭用の衣装は大好評で。

作り立ての衣装を身体にあて、楽しげにはしゃぐクラスメイトの女の子たちに笑顔を向けながら、わたしは充実感に包まれていた。

「お疲れ様」

藤平くんが配ってくれる、小さめの缶ジュースを御礼を言って受け取る。

クラスメイトみんなが教室に円になり、藤平くんが中心に立った。

「んじゃ。みんなお疲れ様!何とか間に合ったな。
ジュースは担任からおごりだってさ。小さいけど文句いうなよ。
明日の、役割表後ろの掲示板に貼ってるから。
交代の時間だけは間違えないように!
んじゃ文化祭の成功を祈って!
カンパーイ!」

藤平くんの掛け声にみんなで、缶を打ち合わせる。 

達成感で昂揚する頬に、ひんやりしたアルミ缶をあて、わたしは息を吐き出した。

出来上がった衣装に視線を落とし、指を這わせる。

今まで裁縫なんて趣味でしかなかったけれど。

こういうことを仕事に出来たら素敵かもしれない。

デザイナー目指してみようかな?

将来の夢の話なんかしたら

蓮くんはどんな顔するだろう?

想像するだけで、自然と頬が緩んだ。