真由、

君がもし、俺を必要としてくれるなら

俺はどんな現実も

受け入れられる。

君が望んでくれるなら

俺の全てを

犠牲にしても、君を守るのに。



「っ息、出来、ねー」

ひゅーひゅーと音を立てる喉を押さえ、止まらない咳に呼吸を奪われていく。


『一樹』


朦朧とした意識の中、

幼い真由が手を差し出す。
握ろうとして、伸ばした指が宙をかいた。

小さい背中が走り去っていく。


追いかけようとして、また咳込んだ。

苦しさに涙をながしながら、

地面を掻きむしる。