ただ、キミが好き

「真由の人生に俺は不必要で邪魔ってわけ!?
相手にするのも煩わしい?
憎むことすら面倒くさい?
いてもいなくてもどうでもいい。そういうことかよっ!?」

「………」

唇を引き結び、真由はなにも答えなかった。

尚も言い募ろうとした時、生徒指導室のドアが開いた。

「お騒がせしました」

頭を下げて出てきた人物に俺は息を飲んだ。

すらりとした容姿。

ブランドスーツを着こなし、香水の強い香りを発するこの女は。


「………母さん」


紛れも無く俺達の、母親、だった。