「明日の文化祭どこまわろっか?」

プログラムを開きながら、廊下の壁に寄り掛かる時田くんの隣で、わたしはぼんやり窓の外を眺めていた。

明日に控えた文化祭準備のため、大きな看板を運ぶ生徒会役員の姿が見える。

もしかしたらと

蓮くんを探して無意識に瞳が動いた。

「佐和ちゃん?」

覗き込まれ、はっと顔をあげる。

「あ、ごめんなさい。
えっと、明日?」

慌てて髪を耳にかけながら、時田くんの持つプログラムに目を落とす。

いくつか気になる場所はあったが、あまり心は浮き立たなかった。

「時田ー」

廊下の向こうから、男の子が手を振る。

「あとで明日の機材運ぶの手伝ってー」

叫ぶ彼に

「へーい」

時田くんは面倒臭そうに返事して、身体を起こした。