どんっと強い力で突き飛ばされ、下足場の簀の子とタイルの間に倒れ込んだ。

擦れた膝の痛みに顔をしかめる。

「ごめーん。大丈夫?」

くすくすと笑い合う声に、わたしは唇を噛み締めて彼女たちを見上げた。

「何睨んでんの?
生意気」

セミロングの女の子が手近にあった教員用のスリッパを持ち上げる。

そのまま投げ付けられて、咄嗟に腕で庇った。

「佐和さんってさー、大人しい顔して男捕まえることだけは上手いんだってね。五組の松田ちゃんが泣いてたよ」

「松田、さん?」

意味がわからなくて問い返す。

セミロングの子は髪を後ろに払い腕を組んだ。

「佐和さんは友達がいないから話相手になってあげたのに、片思いの藤平くんを横から奪われたって、朝から号泣だったんだから」

彼女の言葉にわたしは蒼ざめて首を振った。

「……違う」

「何が違うの?」

5人の冷たい視線が突き刺さる。

「浅倉くんにくっついて回って吉仲先輩自殺に追い込んだのも貴女でしょ?
ひっどい女」

「清純なふりして時田くんにまで、ちょっかい出しておいて友達の片思いの相手にも手ぇ出すなんて本当信じられない」

「いい気になんのも大概にしたら?
みんなあんたにムカムカしてんのよっ」