はぐらかすように肩を竦めると、アヤは釣り目がちな瞳を細め、俺の腕に手を回した。

「変だと思ってたんだよね。
暴行事件のこと聞き出した直後に彼女と付き合い出すなんて」

「アヤちゃん勘繰りすぎだなー。俺は佐和ちゃんに興味あったから男嫌いの原因が気になっただけだよ」

「うそ。
佐和ミコトって一樹のタイプじゃないもの」

一方的に断言してアヤは俺を見上げた。

「………やっぱり、本命は浅倉くんてわけ?」

「俺ホモじゃないよ」

「そういう意味じゃないわよ」

おかしそうに笑って、アヤは俺から手を離し、自分の教室の戸を開けながら振り返った。

「サーヤたちなら一年の昇降口いるよ。
佐和ミコトを助けるつもりがあるんなら、ね」