朝、校門を通りすぎた辺りから、やけに視線が突き刺さった。

明らかに、遠巻きにヒソヒソ話をされている。

なんだか落ち着かなくて隣を歩く時田くんを見上げると、彼は軽く眉を上げて訝しげに首を傾げた。

真相はわからないまま、下足棚の前で時田くんと別れ教室へ向かう。

横開きのドアを開けた途端、教室が水をうったように、しんと静まり返った。

「佐和さん、ちょっと」

藤平くんがわたしの腕を引き外へ促す。

「え、なに?」

戸惑ったまま、後を追いかけようとして、わたしは視線を感じ、振り返った。

松田さんたちのグループが、怒ったようにわたしを見ているのに気付き、びくっと肩を揺らす。

――なに?

訳が分からないまま、先に廊下に出た藤平くんを追いかけた。