「ううん。大丈夫。みんな残るんだよね。
手伝うよ」

答えると藤平くんは安心したように眉を下げた。

「佐和さん最近、なんか変わったね」

不意に言われて、首を傾げる。

「そう、かな?」

「うん。みんな言ってるよ。

前は怖がられてる気がして、遠慮してたんだけどさ。話しかけやすくなったって言うか……。
って、こんな言い方失礼だよね。
ごめんね」

藤平くんは屈託なく笑うと模造紙を抱え直し、「じゃ、よろしくね」とわたしの肩を叩いて去って行った。

藤平くんの姿が見えなくなると、わたしは胸元を押さえて、目を閉じ息を吐き出した。

触れられるのは、まだ正直慣れない。

でも、前みたいに過剰な拒否反応は出なくなっていた。

怖いと思うから怖い。

時田くんに言われた通りだと思う。

自分から壁を取り払うことで、少しずつだけど相手の気持ちも見えてきて、むやみに恐怖を感じることは少なくなっていた。