ただ、キミが好き

ミコトを誰かに渡すつもりはない。

もちろん時田にも。

それでも、俺の手を離れた彼女の変化は誰の目にも明らかで。

俺は時田を牽制はしても、追い払うことは出来ずにいた。

正直、

他の男の手でミコトが変わっていく事実は、受け入れがたい。

でも、

今の俺では、ミコトの足枷にしかなれない。

変わらなければならないのは、俺も同じだ。

世界を広げていく、彼女に焦りを感じるのではなく

どんな彼女も受け入れられるように。

自分の側に、ただ縛り付けて安心するのではなく

離れていても

支えていけるように。

居心地のいいだけの、幼なじみという生温い関係を打ち破れなければ

俺はミコトと向き合う資格を持つことさえ出来ない。