足音が聞こえて、目を向ける。

赤い上履きの爪先が視界に入った。

「なんか用?」

半身を起こす。

じっと俺を見ていた紗耶香が、

「なんで?」

いきなりそう言った。

「は?」

意味を掴みそこねて問い返す。

紗耶香は固い表情のまま続けた。

「みんな浅倉くんだって噂してるけど、
昨日、家庭科室で吉仲先輩とエッチしてたの、一樹だよね?」

「………何のこと?」

「私が追いかけたあと抱きしめてた女は吉仲真由なんでしょ?」