「しっかし。あいつら本当に馬鹿だな」

ハッと笑いが漏れた。

互いに思いあってる癖に、距離を掴みそこねている。

ただの幼なじみではなく。

恋人にもなり切れず。

そんな危うい関係を崩すのは拍子抜けするくらい簡単だった。

佐和ミコトは頭が悪いのかいちいち疑うこともできない短絡思考だし。

浅倉に至っては無駄に考えすぎで、勝手にがんじがらめなってくれるから、手間が省けて大助かりだ。

浅倉に付き合ってるフリをしていること、

それが佐和ミコトの自立のためだということ

そこまでバラせば、ムキになって邪魔して来ないだろうことは予測がついていた。

「でも、あそこまで情けないとは予想外♪」

顔を逸らしたまま、立ち尽くしていた浅倉の、苦い表情が可笑しくて、爆笑するのを堪えるのは大変だった。