それがわかっていても、尚。

俺はミコトを引き止めた。

変わっていく君を、認める勇気も

離れていく君を、見守る自信もなかったから。

『佐和ちゃんは、浅倉っちに依存する自分を変えたいんだよ。
男嫌いも直して、浅倉っちの負担にならないようにちゃんと独り立ちしたいんだって』


ミコトはもう変わるために歩き出してる。


だったら

俺は離れるべきだ。



彼女が必要としているのは、俺じゃない。

――なのに。


ゆっくり顔を上げる。

住宅街の突き当たりを曲がる、ミコトの後ろ姿が消えていく。

思わず、追いかけてしまいそうになる足を必死に止めながら、ぎりっと奥歯を食いしばった。