朝の目覚めは最悪だった。

――佐和ちゃんは俺の彼女だから

勝ち誇ったような時田の笑顔が、頭をついて離れない。

軽い目眩がして、洗面台に両手をつき、顔を伏せた。

冷たい水で顔を洗い、首にかけたタオルで拭き取る。
鏡に映った自分の顔は醜く歪んでいて、

俺は顔を背け洗面所を出た。


「おはよう、蓮」

食卓にはすでに、朝食の用意が整っている。

「おはよう」

コーヒーをたてている父親に挨拶して、席についた。

「どうかしたか?
顔色よくないぞ」

カップを俺の前に置いた父親が、心配げに眉を潜める。

「大丈夫。寝不足気味なだけだから」

曖昧に誤魔化し、コーヒーを胃に流し込んだ。