電車の車両ドアの前に立ちながら、窓の外に目を向けた。

真っ暗な闇の中に、ぽつぽつと明かりが見える。

硝子に映った自分から顔を背け、ドアにもたれると腕を組んで、目を伏せた。



真由と別れ、教室のドアを開けようとした瞬間、後のドアから飛び出していった浅倉とすれ違った。

本能的に感じた。

真由に何かあったのだと。

浅倉の後を追い掛け、三階に上がる階段の途中で、立ち止まった。

追い掛けてどうする?

俺が真由にしてやれることはなにもないのに。

別れを告げてもなお、彼女に執着する自分が惨めで、
俺はそのまま、身体の向きを変え、教室に戻った。