「だったらさっさと帰れよ」

門から手を離し、石段を降りる。

正面から向き合い

「これ以上ミコトの周りをうろちょろするな。
目障りだ」

そう言い放つと、時田は両手をポケットに入れ肩を竦めた。

「ごめんねー浅倉っち。
浅倉っちには、もう佐和ちゃんを縛る権利はないんだよ、残念ながら」

眉を潜め、聞き返す。

「どういう意味だ?」

「知りたい?」

時田は俺を覗き込むと挑発するように顎をあげて、唇の端を持ち上げてみせた。

「佐和ちゃんは、俺の彼女だからだよ」

突拍子もない答えに、一瞬言葉を失って時田を見る。

僅かな沈黙の後、はっと、唇を歪めて笑った。

「そんなこと、あるわけないだろ。ふざけんな」