――やっぱり、気のせいだったのかな?

頭の中で首を捻る。

体育館の裏で鉢合わせしたときに感じた悪意は、今は微塵も感じられない。

――いい人、なんだよね?

街からここまで帰る途中だって、気分を悪くしたわたしを、ずっと気遣ってくれたし

決して必要以上に近づかず、距離を保ってくれている。

少しずつ、

彼に感じていた警戒が溶け始めていた。

同時に、異性と言うだけで感じていた恐怖感も――。