蓮くんを試すようなことしたくないなんて、言っておきながら、

さっき、わたしは最低な方法で彼を試した。

蓮くんからの着信を、少し離れて歩いていた時田くんには、わざと知らせないまま電話に出た。

そうすれば、時田くんがわたしに声をかけてくるであろうことは分かっていたから。

時田くんの存在を知らせた上で、わざと蓮くんに逆らうような発言をした。

もし、蓮くんがわたしを好きでいてくれるなら

吉仲真由を置いてでも、きっとすぐに帰って来てくれる。

何があった?って、尋ねてくれる。

そしたら、告白しよう。

「好き」と素直に言葉で伝えて、蓮くんの気持ちもきちんと聞こう。

でも、

もし帰らないなら。

わたしは最後の賭けに出るしかない。

それが両刃の剣になるかもしれなくても。

もう他に方法が見つからないから。