――付き合ってほしいって言われたの

――塾の先生なのどうしたらいいのかな?

幼かった中学二年の頃のわたしは、

尋ねるふりをしながら、蓮くんが止めてくれるのを待っていた。

行くな。

そう言って抱きしめてくれるかもしれない。

そんな浅はかな幻想を抱いて期待していた。

試したかった。

蓮くんがわたしを好きなのかどうか。

焦って欲しかった。

独占して欲しかった。

ただの幼なじみてしてじゃなく、女の子として、わたしを見てほしかった。

でも、蓮くんは

――ミコトの好きにしたら?

冷たく顔を背けただけで。

わたしの顔すら見てくれなかった。