「いやっ！」

ぶつかるように抱き着き、彼女は俺を揺さぶった。

「行かないで行かないで行かないで！！」

繰り返して、腰に腕を回し爪を立てる。

「一人にしないで！ 置いていかないで！ どうして、みんないなくなるの！？ どうして一人にするの？」

真由の取り乱し方は尋常ではなく。

俺は彼女の肩を持ち、身体を離すと青ざめた顔を覗き込んだ。

「真由？何があった？」

何度も繰り返した質問。

真由は答えず、激しく首を振ると再びしがみついた。

「行かないで行かないで行かないで！ 一人は嫌なの！いやああああ！！」


泣き崩れる真由を腕に抱いたまま、俺はどうすることも出来ず、立ち尽くした。