危うい足取りの真由を連れ、学校からタクシーに乗り込むまでに何人もの生徒とすれ違った。

好奇の視線や囁きから、どんな噂が立っているかは想像はついていたし、それがミコトに伝わる可能性も承知していたはずだった。

それなのに。

ミコトからこんな反応が帰ってくるなんて想像もしていなかった。


――よそ見ばっかりしてると奪っちゃうかもよ


時田のせせら笑うような顔が蘇る。


「くそっ」

吐き捨てて、身体を翻した。

エレベーターのボタンを押す。

瞬間、


「蓮っ!!」

バンッと背後でドアが開いた。

振り返ると真由が裸足で飛び出してきていた。