何度かのコールの後、回線が繋がる。

「………はい」

短い沈黙の後、聞こえにくいくらいに小さなミコトの声がした。

車の走り去る音がバックに響く。

――車?

眉を潜め、硬い声で尋ねた。

「ミコ?外にいるの?」

帰ったとばかり思っていたのに。



「………今どこ?」

「………」

「ミコト?」

黙り込んだ彼女に嫌な予感が沸き上がる。

再度問い詰めようとしたとき、受話器から聞き覚えのある声が聞こえた。