爪が食い込むほど、強く握りしめられた真由の手を、慎重にほどき立ち上がった。

ソファに横たわる彼女を見下ろす。

青ざめた顔で瞳を閉じている彼女は、うなされているのか、時折苦しげに眉間にシワを寄せている。

「……ん」

低い声を漏らし身じろぎした真由の胸元から、応急手当に当てた白いガーゼが覗いた。

そっと毛布をかけ直し、音を立てないように部屋を出る。

仰いだ空はもう薄暗く、ひんやりと冷気を含んだ風が頬を撫でた。

深い溜息をつき、ポケットから二ツ折りの携帯を取り出す。

――七時、か

時間を確認し、ミコトの携帯へコールした。