きゃあ、と、

教室の隅で起こった、悲鳴みたいな声に、私は鞄に教科書を詰めていた手を止め、顔を向けた。

女の子が4、5人窓際に集まって騒いでいる。

輪の中に興奮気味に顔を赤らめている松田サンと森崎サンの姿が見えた。

「でも、教室で、でしょ?マジでそんなとこで?」

「家庭科の準備室らしいよ」

「えーやだ! それ本当に浅倉くんなの?」

耳に届いた名前にドクンと心臓が鳴る。


―――蓮くんが、なに?


わたしは帰り支度をやめ、携帯をいじる振りをして、息を詰めた。