タダノ、オサナナジミ。

それ以上でも、それ以下でもなくて。

ただ、それだけの脆い繋がり。

「いいなー。あんな人と幼なじみなんて! あんなかっこいい上に特進クラスだし! うらやましい!」

ポニーテールの松田さんが両手をにぎりしめて、頬を染める。

「でも、ちょっとクールな感じで近寄りがたいよね。王子様な感じ」

「あの冷たい眼がいいのよ! ドキドキしちゃう!」

きゃっきゃっと楽しげに手を取り合う二人の会話は、まるでブラウン管の中の人物の話をしているみたいで、

わたしにはあまり現実味が湧かなかった。

いつも、他人から聞かされる蓮くんの人物像はわたしの認識から大きくズレていて、頭の中で一致しない。

わたしの知っている蓮くんは、いつも穏やかで優しくて……。


でも。

本当はわかってる。


それが

蓮くんの一面でしかないって。