「ねえ、佐和さんてさ、浅倉くんとどうなってるの?」

不意に尋ねられて、わたしは教科書をまとめていた手を止めた。

クラスメートの女の子が二人、好奇心旺盛な顔つきでわたしの机を囲んでいた。

休み時間。

教室は騒がしい声や物音に包まれている。

わたしたちの会話は恐らく、ニメートル先でも聞き取りづらいだろう。

「どうって?」

質問の真意が分からず、聞き返すと、ショートカットの森崎サンが机に手をついて身を乗り出した。

「付き合ってるの?」

「ただの…幼なじみだよ」

答えて、ズキンと胸が痛んだ。

なんて

簡単に言えちゃう関係なんだろう。