ただ、キミが好き

正面の鍵を開け、外から裏に回る。

角を曲がる手前で、急に女の子が飛び出して来た。

泣いてる?

赤い髪飾りを揺らしながら、私の脇を擦り抜けるように走り去っていく。

思わず振り返り、後ろ姿見送っていると、サクサクと落ち葉を踏み鳴らしながら、近づいてくる足音が聞こえた。

はっとして後ずさる。

角から姿を見せたのは、時田くんだった。

一瞬、

彼の驚いたように見開らかれた目が、すっと鋭く細められた。

なに?

金縛りにあったように、身体が固まる。

ぞっとするほど

――冷たい、目。