「んじゃよろしく頼むな」

何事もなく、立ち去っていく西田先生の後ろ姿を見送り、わたしはほっと息を吐いた。

少し心臓はドキドキしたけれど、呼吸困難を起こすほどじゃない。


どうしてだろう。


蓮くんとのことがあって以来、男の人に対しての恐怖心は多少和らいでいるような気がした。

きっと

怖いだけの記憶ではなくなったからかもしれない。

蓮くんは

まるで壊れ物みたいに、

優しくわたしに触れてくれたから。