「今日の日直誰だ?」

教室の入口で担任の西田先生が声をあげた。

手の中で、チャリチャリと鍵を鳴らしている。

立ち上がり手を挙げると、

「お、佐和かー体育館の鍵開けといてくれるか」

鍵を差し出された。

男性の大きな手にビクンッと身体が縮こまる。

――怖い

でも、逃げ出せば、訝しがられて詮索されてしまう。

ぎゅっと固く目をつぶり、呼吸を整えてから、私は足を踏み出した。

なるべく距離を置いて、手を延ばす。

鍵を受け取ろうとした瞬間、手が触れた。

生暖かい感触。

ぞくりと鳥肌がたった。