「おはよう」

長い黒髪を耳にかけ、微笑む。

冷厳と整った顔は、夜の月のように冴えていて。

近寄りがたい、美しさを放っていた。

「蓮。放課後会議があるから今日は忘れずに来てね」

「今日は」に強くアクセントを置き、すっと目を細めると、長い髪を翻し、去っていく。

「意味しーん♪」

横でニヤニヤしている、時田を鞄で叩き、俺は溜息をついた。

体が、

沈んでいくような倦怠感。

憂鬱な一日になりそうで。