ずっと

ミコトに触れることが怖かった。

心に渦巻く欲望は、どす黒くて醜くて。

ぶつければ

彼女を汚して、壊してしまいそうだったから。

でも、行き場のない持て余した感情は押さえ込めなくて。

ジリジリと胸を焦がしたまま暴れ出しそうになっていた。



『ねえ、どうしてそんなに苦しい顔してるの?』

夏の始まり。

生徒会室で二人だけになった日。

真由にそう尋ねられた。

『苦しそう? そんな顔してますか?』

窓から見下ろした先に、友達と歩くミコトの笑顔が見えた。