ミコトの部屋を出て階段を降りる。

声の届かないよう、リビングに入ってから、電話をとった。

「…もしもし」

自然と声が低くなる。

わずかな沈黙の後、

「お邪魔だったかしら?」

笑いを含んだ真由の声がした。

「…別に」

ドアに背中を預けて、顔を伏せる。

「メール見たわ」

「……そう」

「話ってなに?」

問い掛ける真由の声は、妙に明るくて、逆に彼女の緊張感が伝わって来た。

片手で顔を覆い、目を閉じる。

「……明日、直接会って話すから」