「しかし! 今日もかわいいねー。佐和ミコトちゃん♪」

「…気安く呼ぶな」

肩の手を外し、睨みあげると、

「すいませーん」

時田は掌を俺に向けて、両手を肩まであげ、ふざけた表情で謝った。

「でもさー浅倉っち。佐和ちゃんと付き合ってるわけじゃないんでしょ? あの様子じゃ手も出してないんじゃねーの?」

無神経な時田の言葉に、俺は無性に苛立った。

鞄を持つ手に力を込め、冷たい視線を送る。

「……関係ないだろ」

「ないけどさー。
彼女とはどうなってんのよ?」

指差すほうへと目を向けると、廊下の向こうから、綺麗に姿勢を正して歩いてくる少女の姿が視界に入った。

二年。後期生徒会長。

吉仲 真由。