「ミコ?」

声をかけられて、落としかけたシャープペンを慌てて握り直した。

「手が止まってる。どこか分かんないとこある?」

参考書を片手に蓮くんが、首を傾けている。

「ううん。だ、大丈夫」

再びノートに顔を伏せ、流れ落ちてくる髪で赤らむ頬を隠した。

どうしよう。

部屋に二人きりになることが、こんなに緊張するなんて思わなかった。

蓮くんの些細な動きにまで過敏に反応してしまう自分が恥ずかしくて、ますます顔が熱くなる。



わたし、嫌らしいのかな?

別に何かを期待してるわけじゃないけど、

どうしても蓮くんの

体温を

息遣いを

意識してしまって、落ち着けない。