「一樹! 話があるんだけど」

教室から出た途端、足音荒く近づいて来た女に、強く腕を引っぱられた。

誰だっけ?

言いかけて口を閉じる。

茶色い髪のてっぺんで揺れる、赤くて丸い髪飾りに見覚えがあった。

確か、エリだったかな?

鈍い記憶を辿る。

先週、しつこく迫られて一度だけヤッた女だ。


………面倒くさ。


話の内容が一気に見えてきて、

俺は校舎から引きずり出されながら、空を仰いで溜息をついた。