見開かれた目が、戸惑いに揺れる。

「……一、樹?」

「ずっと好きだった。姉としてじゃなく女として」

引き裂かれたあの日から、俺には予感があった。

俺は、

姉として真由を見れなくなっていたから。

いつか

この思いは隠し通せなくなる。

膨れて、溢れて、真由を傷つけるだろう。

自分が

望むと望まざるとに拘わらず――。

「真由が好きだよ」

膝を立て身体を寄せると、動きを止めて俺を凝視している真由を抱き締めた。

「真由が自分をいらないって言うなら、俺に真由を頂戴?」

「一、樹?」

「俺はずっと、……真由が………真由だけが欲しかった」